運命なんて信じない
投げ出された衝撃で一旦ベッドに沈んだもののすぐに体勢を立て直し起き上がろうとした私に、賢介さんが覆い被さった。

「悪い事は悪いとちゃんと認めろ。生い立ちや環境のせいにするな。悪い事したらごめんなさい。反省したら、もうしません。そのくらい子供でも言えるぞ」
息がかかりそうな距離で言われる。

それでも何とか抵抗したい私は、拳で賢介さんの背中を叩いた。
しかし、賢介さんはビクともしない。
それどころか逆に両腕も押さえられてしまい、ギュッと締め付けられ痛みが走る。
細身の賢介さんのどこにこんな力があったんだろうと思うほど強い力で抱きしめられ、息をするのも苦しい。
それでも負けたくなかった。
だから、死んだって弱音は吐かないぞと私は奥歯を噛み締めた。
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