運命なんて信じない
俺の本心  side賢介
俺だって、琴子が苦労もせず世間を知らずに育ってきたとは思っていない。
それなりの苦労もしてきただろうし、恋愛経験だってないわけはないだろう。
それでも、琴子の告白は俺にとって衝撃だった。
いつも控えめで、おとなしい琴子の本当の姿を見た気がした。
きっとこれが素の琴子なのだろうとも感じた。
そして、こんな私を愛せるのかと挑んでくる態度に腹が立った。

大人からきちんと愛され守られることなく育ってしまった琴子の現実を思い知らされた。
だからこそ俺が、愛してやりたいと思った。
衝動的にとってしまった行動が正しいのかは、俺にも分からない。
でも・・・気がついたら抱きしめていた。
俺は自分が止められなかった。
< 83 / 190 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop