運命なんて信じない
翌朝。
同じベットの上で寝込んだ俺は、早い時間に起きてしまった。
かわいいなと思いながら寝顔をじっと見ていたら、琴子が目を覚ました。

「おはよう」
「おはようございます」
目を合わせると、琴子が顔を赤くする。

「さすがに、母さんには話せないね」
「え?」
凄く意外そうな顔。

「2人でホテルに泊まったなんて、母さんには言えないだろ?」
もちろん、それも計算ずくだ。

「ずるい」
琴子は口を尖らせた。


自宅には、昨日のうちに「仕事で遅くなったからホテルをとった」と連絡を入れた。
母さんは不満そうだったが、俺が許したんだと納得させた。
そして史也にも電話をして、「警察に拘留中の田中浩二の身元を調べて、2度と琴子に近づかないよう処理してくれ」と依頼した。
これでひとまず問題ないだろう。
それでもさらに脅してくるようなら、平石の力を思い知らせてやるだけだ。
史也も厳しいけれど信用できる奴だから、秘密を外に漏らすこともないはずだ。
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