運命なんて信じない
「賢介さん。朝食どうしますか?」
すっかり起き出して、着替えを終えた琴子が聞いてきた。

ここも一流のホテルだから、レストランへ行けば美味しい食事が食べられるはずだ。
しかし・・・
俺は琴子の姿をもう一度見直して、首を傾げてしまった

「琴子、その服で会社へ行くの?」
「いけませんか?」
不思議そうな顔。

「それって、昨日と同じ服だろ?」
「ええ。でも、どうせ制服に着替えるんだから、いいですよ」

いや、普通女の子にとってそこは気にするところだろう。
まるで気にしてないところが琴子らしいし、俺としては琴子に男がいるって噂が流れた方がありがたいが・・・
昨日と同じ服での出勤はさせたくないな。
だからと言って、一旦自宅に帰れば母さんがうるさそうだ。

「そうだ、行きつけの店があるから寄るか」
知り合いの店だから、連絡をしておけば開けてくれるだろう。

「本当に、平気ですから」
何度も遠慮する琴子。

「俺が嫌なんだよ。ほら、ご飯に行くぞ」

荷物をまとめキーを持って、俺は琴子と部屋を後にした。
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