恋人ごっこ幸福論
「で、でも私橘先輩にはそもそも無視されてばっかりだったんで!塩対応くらいなら全然!むしろ成長してます!」
「緋那ちゃん駄目なオタクみたいなこと言わないの」
「あれを成長って…緋那ちゃんはいい子だなあ」
しみじみと感心する菅原先輩。
なんとかこの空気を良くしようと言ったとはいえ、塩対応くらいなら全然って自分で何言ってるんだ、私は。
「それに…ちょっと今日会った時から調子悪そうな気もしたし」
「え?そう?」
菅原先輩が目を瞬かしてきょとんとする。あれ、私の勘違いかな。
「なんか…ちょっと上の空のような気がしたんですけど…私の気のせいかも」
「えーどうだろ。俺基本的に話聞いてもらえないし無視されるから分かんない」
「それ友達って言うんですか?」
英美里ちゃんが怪訝そうに突っ込むのを無視して、いやいや友達だよ~と話し始める菅原先輩。
どうなのかな、私の気のせいだったらいいけ…いや、それはそれでよくないけど。気のせいじゃなかったら、試合大丈夫じゃないような気が。
ちら、とテーブルの上のラップおにぎりに目がいってそれを適当に2、3個手にする。
「ひぃちゃん?どしたの急に」
「私、ちょっと橘先輩の様子見てくる!」
「え?」
「大丈夫じゃなかったらこれから試合なのに大変でしょ、どうにかしてくる。まだお腹空いてるかもしれないからこれもい、一応!」
持ってきたリュックにおにぎりを入れると肩にかける。
「ということで行ってきます」
「ひぃちゃん!!」
英美里ちゃんの呼び止める声を背に、体育館の方へ向かった。