恋人ごっこ幸福論
「緋那。俺はずっとあの頃からお前のことが好きだ。18歳になったら結婚してくれ」
「え!!????」
すっとまた両手を握られて、真っ直ぐ私を見つめて玲央ちゃんは告白をしてきた。
好きって、恋愛的な意味でだよね?
しかも結婚してくれ、って。恥ずかしいのと驚きで頭の中がいっぱいになる。
「急で驚いたよな、でもまあ結構嬉しいだろ?緋那も俺のこと好いてくれてたし10年越しに再会してこんな男前に成長した男からプロポーズされて」
「この人自信満々だな」
「さぁちゃん止めなさい」
「え、えーっと…」
玲央ちゃんのことを恋愛的な意味で好いていた記憶は全く無いんだけれど、彼にはそう見えていたのだろうか。
なるほど、だからこう私に積極的なのかな。とはいえ、勿論彼の告白を受け入れることなど出来る訳なく。
「あの、玲央ちゃん。気持ちは凄く嬉しいんだけど、私玲央ちゃんとはお付き合いも結婚も出来ません」
「何!?なんでだよ!?」
「私好きな人がいるの。その人と…その、一応お付き合いもしてるし」
私は橘先輩のことが好きだから。
玲央ちゃんに好きだって言って貰えるのは素直に嬉しい。私の知らない所でそんなふうに思って貰えるなんてきっとないと思っていたから。
でも、それでもやっぱりこの気持ちを譲ることの方が出来ないんだ。