恋人ごっこ幸福論
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それから、気がつけば3回目の木曜日になった。
「(今日はまだ、橘先輩来てない)」
あれから、週に2回橘先輩が練習している日にやってきては彼が懸命に練習している姿をじっと眺め続けていた。
練習中に話しかけると、やっぱり「邪魔」と短く冷めた声で諭されてしまうので、彼が休憩するまでいつもじっと座ってその様を眺めて、休憩の時間になるとすぐさま彼に話しかけた。
ほとんど話題は私が一方的に彼の知りたいことを聞いて、それに答えてくれてというものだけれど。それでも、必ず私の隣に座って、私を見て話をしてくれる。
聞いたことは素っ気ないけれどきちんと答えてくれるしなんだかんだで私をこの場に受け入れてくれているのだ。
まあ、放課後や休憩時間に見かけて話しかけたときは、相変わらず無視されているけれど…。
やっぱり仲良くなるのはまだ難しいのかな、英美里ちゃんや紗英ちゃんにはむしろ毎回諦めずに通っているのが偉い、とまで言われている。
ところが菅原先輩はそんなのアイツになかったし奇跡だ、と興奮しているから、自分の現状の成果がどういうものなのかは分からない。
とにかく、今は大分進歩している…はず、そう思い込んでおくしかない。橘先輩が来るまで、ボールを出して1人でバスケゴールにフリースローしながら自分に言い聞かせた。
…それにしても。何気なしにフリースローやってみようと思ってしてみてるけど、ボール全然入らないな。