恋人ごっこ幸福論
「え~じゃあ分かって通ってるわけ?」
「はい。私学年も違うから接点ないし、こうでもしなきゃ仲良くなれないな~って思って。あ、一応来てもいいか本人には許可得てますよ」
「へ~必死じゃん、本気とはいえやっばいね」
「あはは、そうかもですね」
そりゃ必死だよ。だって本気で好きなんだから。彼に私を好きになってほしいもの。馬鹿みたいに見えるかもしれないけれど出来ることならなんだってしていきたいんだから。
そう言い返してしまいたいけれど、口にはしない。自分の行動で誰かに何か言われるのは慣れてるから。この程度なら、笑って受け入れてしまう方が楽だと知っている。
私の傍で今すぐにでも反論してしまいそうに英美里ちゃんと紗英ちゃんが見ている。2人も本当に優しくて、正義感が強い素敵な人だな。でも大丈夫だよ。2人の顔を見て、そうにっこり笑って見せる。
「…堂々としてんだね、何のダメージもないんだあ」
何を言っても笑って受け入れる私が気に入らなかったのか、女子の先輩たちは顔を引き攣らせる。これでもう解放してくれないかな。なんて思っていると。