恋人ごっこ幸福論





「…お前真面目だな」

「私はいつだって真面目ですよ。でも」



参ったように、納得のいかない表情を浮かべる彼に付け加える。



「私がここまでしようと思える1番の原動力は貴方を好きだって思う気持ちです」

「…好きって思う気持ち、が原動力ね」

「これで1つ好きって何か分かったでしょう?」

「んーそうだな」



そういうと、私の傍に近づいて膝を抱える私を覗き込む。



「ちゃんと分かんのは当日次第かな」

「……っ、わざわざ近づく必要あります?」



悪戯っぽく見上げる表情を直視できない。私が近くで見ていられないことを覚えて、わざとやってるな。



「そういう顔するから、つい観察しとこうと思って」

「面白いだけじゃないですか…」

「ま、それもある」



嬉しそうにまた笑うなあ、休憩終わりなのか立ち上がると軽くストレッチしながらコートへ戻っていく彼の後ろ姿を見つめる。





…本当に、早くこれにも慣れなきゃな。




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