【コミカライズ】黒騎士様から全力で溺愛されていますが、すごもり聖女は今日も引きこもりたい!
「イシュお兄様はどこかで生きていらっしゃるわ。お兄様が見つかるまで、暗殺されたくないからここにいるけれど、変な期待はよせないでね」
「そんな悠長なことは言っていられないと思いますが……」

 ぽつりと零したノアは、ベッドに近づいてルルの顔をじいっと見つめた。

「なに?」
「青白いです。不安ですか」
「当たり前でしょう。殺されるかもしれないんだから」

 言い返すと、ノアは広げられた毛布を掴んでルルの体を包み、その上から抱き締めてきた。

「貴方をお守りします。なににかえても」

 力強い抱擁に、ルルは何も言えなくなった。

 どうして自分を崇拝しているの。
 いったい何が目的なの。

 色んなことを問い詰めたかったけれど、お気に入りの毛布に包まれたら自動的にまぶたが下りてくる。
 長年の巣ごもり生活のうちに、すっかり安眠装置になっていたのだ。
 
 襲ってくる眠気には逆らえない。
 結局ルルは、名前しか知らない騎士の腕のなかで眠ってしまったのだった。
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