【コミカライズ】黒騎士様から全力で溺愛されていますが、すごもり聖女は今日も引きこもりたい!
「――聖王イシュタッド陛下の失踪に際して、枢機卿団は聖教国王位継承法にもとずき、二人の王位継承者を発表した――」

 一人目は、修道院に入っているルルーティカ・イル・フィロソフィー王女殿下。いわずと知れたルルのことだ。
 二人目は、ガレアクトラ帝国の第四王子、ジュリオ・ヘレネー・ガレアクトラ。

「ガレアクトラ帝国に嫁いだヘレネー叔母さまの息子に王位継承権があるの? 叔母さまは国を出るときに、王族としての全ての権利を放棄されたはずじゃ……」

「枢機卿団は、『ルルーティカ王女には王位を継承する意欲がない』と主張して、別の候補を挙げたようです。聖王には御子がいなかったので、急場しのぎで先々王の血を引くヘレネー様の息子を引っ張り出してきたんでしょう」
「そんな復権は認められないわ。国がめちゃくちゃになっちゃう」

 枢機卿団がすすめる通りにジュリオが王位を継承すれば、聖教国フィロソフィーはガレアクトラ帝国に膝をついたようなものだ。

 一度でも属国になってしまえば、聖王の威厳は失われ、聖教国としての体裁を保てなくなる。下手をすればガレアクトラ帝国に併合されてしまうかもしれない。

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