【コミカライズ】黒騎士様から全力で溺愛されていますが、すごもり聖女は今日も引きこもりたい!
 騎士は、裾をひらりとはためかせて跪《ひざまず》き、扉を指すルルの指を両手で包み込んだ。
 そして、殻をやぶって親鳥をはじめて見た小鳥のように、一心に見つめてくる。

「賊に会おうと揺らがない心。己に慢心しない生き方。そして凜とした態度。私が生涯仕えるのは、やはり貴方しかいない」
「えっっ??」

 戸惑っている間にひょいっと抱き上げられたルルは、一角獣の背に乗せられた。
 逃げたくても毛布が絡んでいるせいで身動きがとれない。あたかも梱包された荷物のように持ち運びに便利なルルを、後ろにまたがった騎士は片手で支えた。

「少し揺れます。舌を噛まないように注意してください」
「どこにいくの。というか、室内で騎乗するってことは、まさか――」

 ルルの不安をなぞるように、騎士は手綱を勢いよく振った。

「行くぞ。キルケゴール」

 パンと叩かれた一角獣は、咆哮を上げて走り出した。向かう先は、外につながる大窓だ。迷うことなく突進していき、ガラスを派手に蹴破《けやぶ》る。

「貴重なガラスがーーー!」

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