禁忌は解禁される
「それじゃあ…私、ほんとにここから出れないじゃん!」
「そうだよ。最初から出すつもりないし」
「そんなの勝手だよ…!」
「一颯が俺の心、奪ったのが悪い」
「そんなの…むちゃくちゃ…。
もういい!部屋に戻る!」
颯天の腕の中から、抜け出す一颯。

「こら!行くな!一颯!」
でもすぐに、颯天に捕まってしまう。
「離して!」
後ろからがっちり抱き締められ、振りほどけない。

「やだよ!傍にいてよ……姉ちゃん…」
「………こんな時だけ“姉ちゃん”って言って甘えないで…!」
「好きなんだから…しゃーねぇだろ……。
頼むよ…行かないで……」


「…………やっぱ…颯天の方が、勝手だよ……」
一颯はただ、ジッと抱き締められていた。


夜が明けて、一颯が目を覚ますと颯天に組み敷かれていた。
「ん……え?
颯天、何?」
「やっと起きた……」
「ちょっ…どいて!もう起きなきゃ、起こしにくるよ!その前に部屋に戻らなきゃだし」

「………このまま、ここにいろよ…!」
「は? 無理だよ!
みんなにバレる」
「だって、一颯が婚活なんてするからだろ?」
「だから、それは……」
「みんなに話して、スッキリしようよ!
そうすれば、もう二度とここから出られないだろ?他の部下にも監視させることができる」
颯天の真っ直ぐな目が、その本気度を表していた。

「やだ…ほんとに……やめて…」
一颯の目が潤み、涙が溜まってくる。

「その顔…ヤバい……可愛い…」
「許して……お願い…」

「だったら、もう二度とやめてね…!
婚活なんて、不快で胸くそ悪いこと…!
不愉快で、吐き気すんだよ!
一颯は俺のモノなのに、俺以外の人間に晒すなんて……」
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