禁忌は解禁される
ある程度見て回り、
「姫、もうそろそろ帰りましょう」
「うん、そうだね!それにしても、人多いね…!」
「姫…もう少しこちらへ」
グッと腰を引く、銀二。

「━━━━━!!?
ぎ、銀くん?」
「少しだけ、このまま……
はぐれたらいけないので……」

「うん…」


━━━━━━━━━━━━
「━━━━って!
はぐれてんじゃねぇか!」
姫、どこだ!?

まずい、何かあったら…………
普段は冷静な銀二。
さすがに焦り、探し回る。
スマホを繋がらない!
「……っつ…!くそ!」
こんな日に限って、天気まで悪くなる。

「雨…?」
数分も経たない内に、雨あしが強くなる。
「ほんとにまずい……このまま…雷が鳴れば……」
雷は一颯にとって、辛く苦しい過去を思い出させるスイッチのようなものだ。
律子が亡くなったあの日を。

「ねぇ…一緒にお茶しようよぉ。雨降ってるし、向こうでさ!」
「困ります!連れがいるので!」

「くそっ!アイツ等……」
心が冷めていく……
銀二は大雨の降る中、ゆっくり一颯の方に向かう。

「ねぇ…いいじゃん!このままじゃ…風邪ひいちゃうよ!
俺等と一緒に━━━━━━」

ガン━━━━━━
男の後ろから近づき、おもいっきり蹴りあげた。

「姫に触るな………」
「銀…く……」
「…ってぇ……てめぇ!何を━━━━━━」

男が振り返ると、凄まじい憤怒の感情を表した銀二がいた。
「あ?
この方はなぁ……
てめぇのような汚ねぇ奴が、触っていい方じゃねぇんだよ…!?」
「銀くん!やめ━━━━━━」
慌てて、銀二を止めようとする一颯。

その時……雷が光り、落ちた。

ドドーーーーーン!!
「嫌ぁぁぁーーー!」
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