禁忌は解禁される
「組長、申し訳ありません。また姫を傷つけてしまった」
「別にお前のせいではないだろ?
雨と雷。
自然現象だ。
ただ、あの時とかぶっただけだ。
お前はいつも命懸けで、一颯を守ってくれているから、俺は安心して任せられるんだぞ!
とりあえず、着替えてお前も風呂に入ってこい!」

「はい…」
颯太は思い出していた。
いつも冷静な銀二。
取り乱すこともなく、この組の為に毎日忠実に俺や一颯達を守ってくれている。
こんな銀二は二回目だな。
律子が亡くなったあの時以降、二回目だ……と。

そして、颯天と一颯。
一颯をそのまま風呂場に連れていき、全裸にして浴槽へ。
ゆっくり浸からせると、目を覚ました。
「え……?颯天?」
「うん…ここは、風呂場だよ。身体がかなり冷えてるから。温めようと思って……」
「うん、ありがと。
もういいよ。あとは自分で……」
「やだ。このまま一緒に入ろ?」
「うん…じゃあ、せめて下ろして?」
一颯は颯天に抱きかかえられたままな為、顔を赤くして言った。

「うん…でも、抱き締めさせて!」
そう言って、一度一颯を膝から下ろし、後ろから抱き締める颯天。
「よかった……銀二に抱かれてるの見て、寿命縮んだかと思った」
「ごめんね…ママが亡くなったあの時のこと、思い出しちゃって……」
「あー雨と雷?」
「そう…どうしても、ダメ…!
もう、完全なトラウマ……」

「確かにな。ここにいるみんな、少なからずトラウマだもんな。母さんのことは…………」
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