オフィスの華(令和版)~若社長と秘書のHONEYなヒミツの関係~
「まぁ、貴方の上司はこの私ではなく、栗原さんだし。栗原さんの指導で仕事を憶えていくのね」

「はい」

「私からは以上よ…後は栗原さんに訊いて…」

「はい」

小畑先輩は忙しいのか、最低限度のコトしか言わなかった。

「失礼しました」

私は社長秘書室へと戻り、箱に詰めて持って来た私物を引き出しの中に入れていく。
私物の片づけを終えた私は奥の社長室のドアを開けてみた。

鍵は掛けられておらず、無防備だった。
秘書室の鍵を閉めて置けば、基本入室は出来ないから、いつも掛けないんだろう。
白いレザーソファの肘掛椅子に黒の大理石のローテーブル。
壁には大きな絵画、無造作に飾られた花瓶。
どれもこれも高級家具や高価な調度品が置かれている。

「おいっ、美苑…居るんだろ?」

ドアを開けて、祐早斗様が入って来た。

「お、お帰りなさいませ…社長」

「・・・プッ、お前はメイドか?美苑」

彼は慣れた感じに私の名前を呼んでくる。
名前を呼ばれる度に照れ臭いキモチが溢れた。

「社長」

「あ…デスクの上に置いておいてくれ」

栗原さんは彼の黒のブリーフケースをプレジデントデスクにそっと置いた。

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