オフィスの華(令和版）～若社長と秘書のHONEYなヒミツの関係～

「ほら」

祐早斗さんは私に自分のハンカチを差し出した。

「ありがと御座います」

「どうぞ…これを飲んで心を落ち着かせて下さい。染中さん」

栗原さんは私の前にそっとコーヒーを置いた。

「二人に気を遣わせて、ゴメンなさい…」

「泣きたい時は泣けばいいんですよ。一人で泣くのが嫌でしたら、俺の胸を貸しますよ。染中さん」

「おいっ！？どさくさに紛れて何言ってんだ？栗原。美苑は俺の恋人だぞ」

「でも、表向きは俺の恋人ですけど」

私は慌てて涙を抜いて、二人の仲介に入った。

午後からはひたすら、パソコンと名簿の睨めっこ。

その傍らで、栗原さんは電話を掛けて、来週の会食の予約をしていた。

「秘書が社長の会食のセッティングするんですね…」

「そうですよ…でも、相手の食の好みなども考慮し、店の選択を行い、いくつか候補の店をチェイスして、予約をします…」

「そうなんですか…」


「おいおい、教えていきますから…そう…焦らずに」

「はい」