オフィスの華(令和版)~若社長と秘書のHONEYなヒミツの関係~
執務室に入るとわが社の相馬祐次(ソウマユウジ)社長の秘書・栗原洋貴(クリハラヒロキ)さんが居た。
京大医学部卒のハイスペック男子。医大を卒業しながら、なぜか社長秘書を務めている謎めいた人。
銀色の眼鏡を掛け、切れ長の涼しげな黒い瞳に高い鼻梁。
ツーブロックヘアの黒髪はグリースで濡れ感とツヤを出して、後ろに流すようなセット。
端整な顔立ちで足も長い。百八十センチは越えてそう。
元は営業部所属。経理課の私とは接点があったけど、余り記憶にない。
一旦『ソーマ』を退職し、今は社長の直接雇用の雇い秘書と言う噂。
昨日、うっかりと備品室で彼と秘書課の英田さんの密会を目撃してしまった。
―――きっと昨日の件だろう…
何も部長を通さなくても、内線で呼び出してくれれば…
「社長秘書の栗原さんが君に用があるって…」


「えっ?あ…」

「染中さん、お仕事中に申し訳ありません…俺と一緒に来てくれませんか?」

「分かりました」

「では、若林部長、少しだけ染中さんをお借りします」

栗原さんは部長に一礼して、私をフロアから連れ出した。

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