オフィスの華(令和版)~若社長と秘書のHONEYなヒミツの関係~
「コーヒー置いておきますね。熱いうちに飲んで下さい。栗原さん」

先にデスクに戻った私は後から戻った栗原さんに声を掛けた。

「ありがとう…」

彼は腰を下ろして、私の淹れたコーヒーを啜る。

昨日、私をトラックから庇って、眼鏡を壊した栗原さん。
黒縁の眼鏡を掛けていた。左目の端の傷は痛々しく目に映る。

彼と二人だけの秘書室。痛いほどの緊張感が漂う。

「染中さん、君が気にしてどうするの?」

「えっ?」

「君は社長を選んだ…俺のコトを気に掛ける必要ないさ」

栗原さんをそう言って、ノートパソコンを立ち上げた。

「でも・・・貴方は…ずっと…」


「…ずっとなんだ?」

彼が私の方を見て、ジッと見据える。
ようやく…彼の顔をまともに見れた・・・

「俺が染中さんのコトスキだとも思ってるのか?」

「え、あ…」

「…振られた女をいつまでも思うほど…俺は馬鹿じゃない。キモチの切り替えは早い。普通にしてくれ。染中さん」

「・・・分かりました」

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