オフィスの華(令和版)~若社長と秘書のHONEYなヒミツの関係~
「はい…」

「今夜は何もせずに帰してやるから…絶対に連絡して来いよ。華」

彼の低い声は何処か切なげに鼓膜に届いた。
このまま、強引に奪われるんだと思ったから、彼の紳士的な態度に胸がキュンとする。

私はメモを受け取り、彼に謝った。
「ゴメンなさい…」

「でも、そう簡単には帰さないぞ」

彼は意地悪な色を瞳に浮かべ、ニヤリと笑う。

何か企んでいるような雰囲気。

彼は突然私を強く抱き締めて、首許に端正な顔を埋め、首筋に激しく唇を押し付けた。
チクリと感じる痛み。

その痛みはほんの一瞬。

彼は首筋から顔を離した。

「華に男が居ても、構わない。奪えば、済む話だ…今度会う時は胸元に付けるぞ。キスマーク」

彼は私の首筋にキスマークを付けたのだった。

―――次会う時は本当に食べられてしまうかもしれない。彼の獲物の証。

でも、彼の魅力から目が離せなかった。
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