【完結】イケメンモデルの幼なじみと、秘密の同居生活、はじめました。
 美波はその『想像できる』のが誰かはわからなかったけれど、北斗はそれについては話してくれなさそうだったし、それに話は次へと行ってしまった。
「今日、戸成さん……ああ、マネージャーな。戸成さんに会ってくる。怒られるだろうけど、それは俺が悪い。でも」
 そこまではどこか落ち込んだような言い方だったのに、北斗はそこで顔をあげた。
 美波はどきっとしてしまう。
 その目があまりに鋭かったので。
 ぎらっと光ったように感じたくらいだ。
「だからって、載せたやつは許さない。犯罪だし、なにより、美波を巻き込みやがって」
 美波はその言葉で理解した。
 これは怒りだ。
 北斗は怒っているのだ。
 それはあんな写真を撮られて、勝手に載せられて、勝手な嘘を書かれたのもそうだろうけれど、一番はきっと『美波を巻き込んだ』。そのことに。
 美波の胸が、じわじわ熱くなる。頭痛はもう吹っ飛んでいた。
 ぎゅ、と布団の上で手を握った。
 北斗に謝られて、こんなふうに言ってもらえて、きっと「ありがとう」だけではない。
「私こそ……ごめん」
 美波の言ったことに、北斗は不思議そうにこちらを見た。
 本当にわからない、という顔だ。
 美波はその北斗の顔を見て、笑顔を浮かべようとして、でもできなかった。泣き笑いのようになってしまう。
「うかつだったっていうなら、私のほうがそうだよ……、北斗に甘えちゃったんだから……」
 言ったことは心からのこと。
 自分はあのことが危険なこと……スキャンダルになることすら思いつかなかったのだ。
 なんて軽率なことだったのだろう、と後悔する。
 でも北斗は美波のその言葉と、泣き笑いの顔を見て、顔を歪める。
 不意に、がたんっと椅子が鳴った。
 美波はびくりとしてしまう。
 その間に北斗は椅子を立って、こちらへ乗り出して、ベッドに膝をついた。
 そして次の瞬間には、ふわりとあたたかなものに包まれていた。
 美波の胸が、どきんっと反応した。
 北斗は美波をしっかり抱きしめてくれたのだから。
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