【完結】イケメンモデルの幼なじみと、秘密の同居生活、はじめました。
 ぎゅうっと、強い力で背中を抱かれる。
 北斗の体の感触と、力強い腕と、あたたかな体温がはっきり美波に伝わってきた。
「そんなふうに言うな」
 言われた言葉は苦しそうだった。
 美波は胸をどきどきと高鳴らせながら、それを聞いた。
 こんなふうに抱きしめられて、どうしていいかなんてわからない。
 どきどきしすぎて苦しいくらいだ。
 でもなぜか。
 心地いい、と思ったのだ。
 安心する、とも思ったのだ。
「大丈夫だ。お前のことは、俺が絶対に守る」
 そんな美波の耳元で、北斗のしっかりした声がささやかれた。
 小さな声だったが、美波には確かに聞こえた。
 その声と言葉。
 抱きしめてくれる腕は、美波を安心させてくれた。
 きっと大丈夫だ。
 こんなことになって、学校ではなにか言われたりされるかもしれないし、それ以上に北斗はモデル。もっと広い世界から責められてしまうかもしれない。
 でも守ると言ってくれた。
 北斗は約束を破らない。
 美波はちゃんと知っていた。
「……ありがとう」
 ぽろっと、美波の目からあたたかなものがひとつぶ、こぼれて、頬に流れた。
 そっと腕を持ち上げる。
 北斗の背中に回した。
 自分からも触れたことで、美波はそこからも実感した。
 北斗なら大丈夫だ。
 きっと解決することができる。
 そして。
 自分のことを、絶対に守ってくれるのだ。
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