【完結】イケメンモデルの幼なじみと、秘密の同居生活、はじめました。
 しばらくして、声を出したのは、美波に文句を言いに来ていた先輩だった。
「サイテー。言われなくても、こんな子、もうどうでもいいわよ!」
「行こ!」
 吐き捨てるような声と言い方だったけれど、それを最後に先輩たちはぞろぞろ行ってしまった。
 美波とあずみを教室前に残して。
 美波は、ほっとした。
 このあとまた責められるようなことを言われる可能性もあったのだ。
「美波……」
 代わりにうしろから声がした。
 そっと肩になにかが乗る。
 振り向くと、あずみが心配そうな顔をしていた。
「大丈夫?」
 北斗の放送のことか、それとも先輩たちに絡まれたことか。
 美波は笑顔を浮かべた。
 でもそれはちょっとこわばってしまった。
「う、うん。大丈夫……」
 ゆっくりと頭の中が落ち着いてきた。
 しかし直後、落ち着きそうになった気持ちはまったく違う意味で沸騰してしまう。
 だって、北斗の言ったのは美波をかばうことだけではない。
 ……告白、だ。
 おまけに。

『絶対OKもらう自信あるので』

 そんな自信満々に。
 かぁっと顔が熱くなる。
 遅すぎる、と思いつつ。
 思わず口元を押さえていた。
 心臓がバクバク速く打ちすぎて、痛いくらいだ。
 今、北斗は目の前にいないというのに。
 みんなの前で、告白されてしまった。
「ふふ、良かったね」
 その美波の肩をそっと抱いてくれたのは、あずみ。
 美波の気持ちは、それでやっと少し落ち着くことができた。
「ご、ごめん……、ありが、とう……」
 やっと言った美波に、あずみは笑った。
 ちょっと寂しそうではあるけれど、優しい顔で。
「ちょっと残念だけどさ。北斗くんは美波のことが好きなんだろうなって、前から思ってたし」
「そ、そうだったの?」
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