【完結】イケメンモデルの幼なじみと、秘密の同居生活、はじめました。
 美波は驚いてしまう。
 どうしてわかってしまっていたのだろうか。
 それにはいたずらっぽい笑みが返ってきた。
「うん。北斗くん、割とわかりやすいよね」
 北斗が聞いたら顔を赤くしそうなことを言って、あずみは今度、にこっと笑った。
「でも、私もずっと、北斗くんのファンでいてもいいよね?」
 北斗くんのファン。
 恋愛対象ではなくて、モデルの『今角 北斗』のファン。
「……もちろんだよ」
 美波も笑みを浮かべていた。
 北斗の特別になれてしまうのは嬉しい。
 でも、北斗を好きなほかのひとたち。
 そのひとたちのことだって、大事にしたい。
 北斗もきっと、そういうつもりであれを話したのだろう。
「聖羅ちゃんが犯人だったっていうのには、びっくりしちゃったけど」
 あずみの話は違うところへ行った。
 急な展開で流されるようだったけれど、そういえばそうだった、と美波は思う。
 もうずいぶん前のことのように感じたのに、あれはまだ数分前のことなのだ。
「……そう、だね」
 美波は相づちを打った。
 聖羅が犯人だというのには驚いてしまったけれど、すべて納得がいった。
 こんなことをしたのは、北斗が自分を振った腹いせだろう。
 それから多分、聖羅は感じていたのだ。
 北斗と美波の関係について。
 なにか特別なものがあるのだろうと。
 その疑いがあったからこそ、北斗のあとをつけて、あのハグ場面に行きあったのかもしれなかった。
「おーい! みんな、早く教室に入れ!」
 そこへ先生の声がした。
 そちらを見ると、あきれたような顔の先生が立っている。
 その場にいた生徒たちみんな、慌てて自分の教室へ向かっていった。
「まったく、今角が変な放送をして気になるのはわかるが、もうホームルームのはじまる時間、過ぎてるんだぞ。早くしろー」
 それで全部、おしまいになった。
 うながされるまま教室に入って、席について。
 朝のホームルームがはじまっても、美波は夢心地であったし、終業式すらいつの間にか終わってしまっていた。
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