元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 供物とはどういう意味だったのか。ティアリーゼがどういう扱いをされると考えて送り込んだのか。考えるのはやはり恐ろしいし、答えを知ったときのことを考えると息が止まりそうになる。

 それでも知ろうと思えるのは、いつも穏やかな感情を保ち続けているシュクルのおかげかもしれなかった。

 たとえ泣きたくなっても、シュクルは普段通りにしてくれるだろう。共感もなにもいらないと思っている今、ティアリーゼに必要なのはただ受け止めてくれる人の存在だった。

 きっと泣くことになると既に覚悟している自分がおかしかった。

 しかし、だからこそ前に進める。

「行ってくる。……いい子にしていてね」

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