元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
「ちゃんと帰ってくるからね。おみやげはなにがいい?」

「いらない」

 ティアリーゼはその短い答えからシュクルの伝えたい気持ちを悟る。

「じゃあ、無事に帰ってくるわ」

 みやげよりも、ティアリーゼが帰ってくることの方が重要。

 自意識過剰かもしれないが、シュクルがそう思っているだろうとわかる程度には付き合いが長くなった。

 その場にしゃがみ、いつもするようにシュクルの尻尾を撫でる。

 トトがぎょっとした気配は感じたが、気にしないことにした。

「私、聞きたいことを全部聞いてくる。そうしたらあなたにも教えるわね」

「待っている」

「うん」

< 111 / 484 >

この作品をシェア

pagetop