元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 歌うようにシュクルへと声をかけたのは、金鷹の魔王、キッカ・クゥクゥ。

 寒暖差の激しい西の広大な砂漠地帯を治める王であり、身に宿す獣性は名の通り鷹。

 明るく気のいい男だが、常に顔を隠しているくちばし付きの面のせいで本心は読み取れない。本人曰く、「くちばしのない顔なんぞ恥ずかしくて晒せるか」という理由らしい。

 シュクルの次に若い王ということもあり、なにかと気にかけてくる兄貴分だが。

「聞いたぞ? 勇者っつーのが来たんだって?」

「いかにも」

「しかも嫁にする気らしいじゃん。すげー」

「……なにを考えている、白蜥」

 壁際にもたれていた男が唸るように言う。

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