元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 仮面の向こうから覗く金の瞳が、グウェンの紺青のそれを見返した。

「笑いごとさ。俺のことじゃねぇもん」

「だから世代交代には反対だったんだ。お前たちのようななにも知らぬ子供ばかりで、どうしろと――」

「そのぐらいにしておきなさい、グウェン」

 極上のベルベットを撫でるような、そんな穏やかで柔らかい声が響いた。

 五人の魔王たちで最も年長者の『紅狐(こうこ)の魔王』だった。名をマロウと言う。

 話では万を超える年数を生きているとされるが、こうして人の姿をしているときはそう見えない。落ち着いた雰囲気から年上らしさは窺えるが、見た目だけは若かった。

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