元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
「まぁ、嫁の貰い手に悩まないで済むのはありがたい話だが」

「そうかもしれませんね」

 妹の表情に暗いものが混ざっても、エドワードは気にも留めない。むしろ、そんな妹に冷たい言葉を投げかけて溜飲を下げている。

「間違って人の身に生まれた化け物なんじゃないのか?」

 思わず唇を噛んでいた。そんなことはないと言いたくても、兄の機嫌を損ねるだけだとわかっているから言えない。

「お前が女でよかった。この国の王が化け物では困る。父上もそう思っているさ」

「……そう、かもしれません」

 奇しくも先ほどと同じ言葉を返してしまう。

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