元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 そうして部屋の扉を開けたティアリーゼは、いるはずのない人の姿を見つけて硬直していた。

「……あなた、人の部屋でなにをしているの」

「お前の帰りを待っていた」

 ベッドの上でぱたぱたと尻尾が動く。

 嬉しい、という感情をわかりやすく示しているのはもちろんシュクルだった。

「気持ちは嬉しいけど、勝手に部屋に入るのはどうかと思うわ」

「なにもしていない」

「なにかしていたらもっと怒ってたわよ」

「……どのように?」

「もう……触ってあげないとか?」

 シュクルが嫌がりそうなこと、と考えて出てきたのがそれだった。

 言った瞬間、青い瞳が丸く見開かれる。

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