元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
王の間と呼ばれる広間にはタルツ王が座していた。ほかに人の姿はなく、よほど重要な話があるのだろうと察せられる。
(……ついに旅立つ日が来るのかしら)
そんな期待と不安を胸に、父の前に膝をつく。
「ティアリーゼ、参りました。お話というのは……?」
「実はな。また亜人によってひとつ村が滅んだという情報が入った」
「また……!」
ぎり、と唇を噛み、ティアリーゼは手を握り締める。
父にこんな話をされるのは初めてではない。そのたびに焼け付くような思いで身を焦がされた。
一方のタルツ王は疲れた様子で溜息を吐く。
(……ついに旅立つ日が来るのかしら)
そんな期待と不安を胸に、父の前に膝をつく。
「ティアリーゼ、参りました。お話というのは……?」
「実はな。また亜人によってひとつ村が滅んだという情報が入った」
「また……!」
ぎり、と唇を噛み、ティアリーゼは手を握り締める。
父にこんな話をされるのは初めてではない。そのたびに焼け付くような思いで身を焦がされた。
一方のタルツ王は疲れた様子で溜息を吐く。