元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。

 うなだれたシュクルに言って、改めてティアリーゼから額を重ねる。

 以前したときよりも、もっと心の距離が近い。

「先に言わせてね。私以外の人に撫でられてもついていっちゃだめよ」

「しない。……私はお前がいい」

 恋人としての初めての触れ合いは、ティアリーゼの思っていたようにならなかった。

 人間ではない人との恋は前途多難らしい、と思いながらも、これからまた互いを知っていけばいいと前向きに考えることにした。


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