元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 たったそれだけのことにも緊張してしまい、ティアリーゼは顔をうつむかせる。

(じゃれてるだけ、じゃれてるだけ……)

 そう思おうとしても、今は難しい。

 シュクルはとてもかわいらしい人で、それこそ愛玩動物のような言動でティアリーゼにまとわりついてくる。

 だが、もうティアリーゼはシュクルを異性だと認識した。自分を求めてくる男だ、と。

「ときに、ティアリーゼ」

「な、なんでしょう」

「人間の繁殖期はいつだ」

「は……っ、は、はんしょくき」

「待っている」

「まままま待たなくていいから」

「なぜ? 私は今、繁殖期にある気がする」

「っ……!?」

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