元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 シュクルがティアリーゼに身体をすり寄せる。

 なんだかとてつもなく危険な気配を感じ、なるべくその身体から離れようとした。

 しかし、既にティアリーゼはシュクルの腕に捉えられている。そう簡単には逃がしてもらえない。

「……ティアリーゼ」

「まだ早いわ、うん、まだ早い……!」

「なにが? わからない」

「心の準備が必要なの。そのために恋人になったのよ?」

「なにになれば許される? もう恋人はやめたい」

「そうしたら他人になっちゃうわ。添い寝もしなくなるの」

「…………困る」

「でしょう?」

「やめておく。まだ早い」

「そう、まだ早いの」

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