元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
「王、特に咎めはいたしませんが、目のあるところでは控えた方がよろしいかと思われます。ここは鳥たちに見えてしまいますから」

「うん?」

「わ――かりました!」

 首を傾げたシュクルの代わりに、ティアリーゼが応える。

「もう二度とシュクルの好きなようにはさせません」

「なんの話だ?」

「あなたは黙っていて」

 トトは一礼して城の中に戻っていく。ほかに言葉がないのが変に気を使われているようで、余計にティアリーゼの羞恥を煽った。

「……トトさんにはキスの意味がわかるのかしら」

「わからない。馬もするのか聞いてみた方がいいか?」

「トトさんって馬だったのね……」

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