元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 違うのは量だろうか。シュクルは細身の割によく食べる。

 そしてここ何日かで気付いたのは、どうやら熱いものを好むということだった。

 今も湯気の立つ紅茶を冷ましもせずにお代わりしている。

(前より、ちょっとだけシュクルのことがわかるようになってよかったわ。こうしてみると、人間と本当になにも変わらない……)

「私になにか話でも?」

「え?」

 急にシュクルが口を開いたことで、心臓が跳ねる。

「どうして?」

「ずっと見ている。なにか言いたいことがあって、私を見ているのかと思った」

「あー……ううん、違うの。いろいろ考えていただけよ」

「いろいろ」

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