元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
「私がこうやってあなたのことを知っていくように、ほかの人間もあなたたち仲間のことを知っていけたらいいのにって」

「なぜ?」

 首を傾げたシュクルに、どう説明するか考える。

「そうしたら、一緒に共存できるわ。この間見たような狩りだってなくなるでしょう」

「そうだろうか。人間は欲深い。たとえどう世界が変わろうと、翼狩りは消えないと思う」

「ひとつでも減らせるなら、って思わない?」

「そういうことなら理解できる。私も不必要に人間を憎みたくはない」

「私もあなたにそういう感情を知ってほしくないわ」

「もう知っている」

「……説明が難しいわね」

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