元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 牢の見張りについていたのもやはり亜人だった。

 なんの亜人かはわからなかったが、時間が決められているのならゆっくりしている暇はない。

 ティアリーゼは牢のある地下へと階段を降り、そこで自分以外の人間である男と向き合った。

「あなたが翼狩りをしていた人ね」

「……なんだ、人間か? 俺を助けに来たってわけじゃなさそうだな」

 男はティアリーゼの質問に答えない。代わりに鼻を鳴らして笑った。

「そんじゃ、慰めにでも来てくれたってか? だったらこの鎖を解いてくれよ。擦れて痛いったらねぇ」

「私にその鎖を解く権限はないわ。あなたと話をしたくて来ただけだから」

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