元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
「それがわかってても、あんたは馬鹿げた言葉を繰り返すんだろう?」

「そうね」

(だって、私はそれが一番いい道だと思っているから)

「はははははっ! できっこないさ! 家畜を人間扱いするなんざ、まっぴらごめんだからな!」

 ティアリーゼは爆笑する男に背を向ける。

 もう、話すことはない。

(家畜だから狩ってもいい、家畜だから傷付けてもいい。……そう思っている人間は少なくないわね。じゃあ、彼らが同じ人だと伝えるために、私はなにをすればいい?)

 またひとつ、考えることが増える。

 その答えはやはりすぐに出てこなかった。



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