元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 ティアリーゼもシュクルを抱き締め返し、その胸に顔を埋める。

「そうやってあなたが雛じゃなくなっていくところを見るのは嬉しいわ」

「身体ばかり大きくなる」

(そこは変わっていないように思えるけれど……)

「大きいベッドが必要になるかもしれないわね」

「そのときは改めて巣を作ればいい。そうすれば、子育ても楽になる」

「……そういうもの?」

「そういうもの」

(子育て……ね)

 もう一度顔を上げ、シュクルを見つめる。

 彼の願いはずっと前から変わらない。

「今も、私に自分の子供を産んでほしいと思っているの?」

「そう思わないなら、ここにいない」

< 272 / 484 >

この作品をシェア

pagetop