元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
「……そうね。変な質問をしたわ」

「私は待っている。お前が恋人をやめてもいいと思うときを」

 同じベッドで寝ていようと、キスをしようと、シュクルはそれ以上踏み込んでこない。

 ティアリーゼが拒んだから、というだけで自分の望みを引けるのは、それだけティアリーゼのことを大切に思っている証拠なのだろう。

 色めいた願いではないからこそ、それがシュクルにとって苦しいことではないかと思うことがある。

 子供を欲しがるのは単なる本能によるもの。弱い個体として生を受けたシュクルが、自分の血を早く残したいと思うのは当然のことだった。

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