元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
「人間とあなたたちの共存のために、私たちの結婚を使うの。だって人間と魔王が結婚するなんて初めてなんでしょう? しかも私、一応は元勇者よ。敵対していたふたりが結ばれたって広まったら……」

「よくわからない。人間はそれになにかを思う生き物なのか」

「思うわ」

 きっぱり断言する。

 そう育てられていなかったとはいえ、姫だったティアリーゼは政略結婚という言葉を知っている。敵対しあうふたつの国が結婚によって友好的になるというのは、よく聞く話だ。

「ひとりひとりに意識を変えるよう言っていても仕方がないわ。私とあなたが結ばれることで、共に生きていけると伝えるの」

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