元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 トトは少し複雑なようだったが、メルチゥは素直に喜んでくれる。以前、タルツまで運んでくれたカラスの亜人も祝福の言葉を投げかけてくれた。

(一応これも政略結婚だと思うんだけど、少しも嫌な感じがしないわね。……嬉しいわ)

 ティアリーゼにはタルツの姫としての身分がある。もし勇者でなければそういった政略結婚の駒としての役目を持たされていただろう。

(勇者として育てられてよかった)

 鏡の前でティアリーゼは自分を見つめる。

 父にも兄にも、そして母にも似ていなかった髪と瞳の色。タルツを興した王と同じものだからと勇者になるきっかけとなったものだが、今となっては適当な理由だったのだろうと思う。
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