元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
「ふふふ、あなたらしくもないわね。久々に話すから、私とどう会話するのか忘れたの?」

「そうかもしれませんね。私も知りながらあなたを見送ったひとりですから」

「それは……勇者のことね」

「はい」

「気にしていないわ。あなたには勉強も教えてもらったし、剣も指導してもらった。いつか供物になる女だろうと手を抜かずに教えてくれてありがとう。本当に感謝しているの」

「感謝されていい人間など、ここにはおりませんよ」

「あら、どうして? 私を私として見守ってくれたから、今の私があるのに」

 本心からそう言うと、眩しそうに見つめられる。

 やはりレレンらしくない。そう、ティアリーゼは思った。

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