元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
「お父様に伝える前に、あなたにも言っておくわ。私、結婚するつもりなの」

「結婚、ですか。それは……」

「ええ、あなたたちが魔王と呼ぶ人と」

「……なぜ、と聞いても?」

「かわいい人だったからよ」

 それもまたティアリーゼの本心だった。

 シュクルへの思いは日々変わっていっている。かわいい人だと放っておけない気持ちから、共に生きていきたいという穏やかな気持ちへ。彼が雛の皮を脱ぐにつれ、ティアリーゼもまた、母性にも似た思いを恋心へと変えていった。

「私とあの人が結婚することで、彼らと……亜人と共存の道を作れるのではないかと思った、というのもあるわ」

「あなたは……」

< 292 / 484 >

この作品をシェア

pagetop