元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 ティアリーゼは額を押さえ、今の話をなんとか飲み込む。

 勇者として旅立った、以外に合っている箇所がひとつもない。しいて言うなら、シュクルがティアリーゼを手放したくないと思っているところだろうか。だが、それ以外は事実無根の、ティアリーゼ自身混乱するような内容だった。

「それは事実ではないわ。私は自分から望んで……」

「おいたわしいです。なんて健気な……」

(いやいや)

 自分より年下の少女に本気でそう言われるのは、なんとも居心地が悪い。

 これは誤解を正した方がいいだろうと、その場にいる全員を見回す。

「ほかのみんなも、そういう風に聞いているのかしら?」

「……はい」

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