元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 誤解があるのは間違いなかった。

 ティアリーゼは望んでシュクルの妻になるのだし、帰ってきたのだってむしろシュクルの協力があってのことだった。

「私のことをどう聞いているの? その……犠牲って聞こえたけれど」

「それは――」

 ほかの者が止めるのも聞かず、ミリアは語りだした。

 ティアリーゼは勇者として旅立ち、そして死闘の果て、魔王に囚われてしまったのだと。なんとか逃げ出してきたが、魔王はお気に入りの玩具を手放すつもりなどなく、国を滅ばされたくなければティアリーゼを差し出せと言っていると――。

「待って、お願い。ちょっと待って」

(なにからなにまでどうしてこんなことに)

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