元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
「私に尻尾を撫でてもらうのが好きだって言っていたわ。一日中そうしてもらいたがるの、あの人は」

「魔王が……?」

「本当に?」

「そんな、ありえない……」

 信じられない気持ちはティアリーゼにも理解できる。そういう亜人に対する勘違いが根強いからこそ、今回の結婚を決めたのだ。

「本当はこんな人たちなの、って言ってもすぐには受け入れられないでしょう? でもいつかは共存できると思うの。その第一歩として、それから最初のひとりとして、結婚を決めたのよ」

「ティアリーゼ様……」

 ミリアが呆然とした様子で立ち尽くす。その場にいる誰もが戸惑いと驚きを見せていた。

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