元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 声がした方を見て、ティアリーゼは深く頷く。

「とても。……大好きなの」

 きゃ、と悲鳴に似た声が上がったが、彼女にそれをどうこう言う余裕はもうない。

(余計なことを言い過ぎた気がする)

 急に恥ずかしくなったティアリーゼはその場にしゃがみ込んで、自分の顔を押さえた。

 触れなくてもわかるほど熱くなっている。きっと鏡を見れば真っ赤になった自分が映るのだろう。

 そして、そんなティアリーゼの姿をここにいる全員が見ていた。

「ごめんなさい。今の……忘れてほしいわ」

「すみません、ティアリーゼ様っ!」

 ミリアがティアリーゼの前に膝をつく。

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