元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 トトがその場を立ち去ると、シュクルにつかつかと近付いた。

「全部聞いたぞ」

「……よく、この短時間で西から飛んでこられたものだ」

「うちの連絡係は優秀だからな」

 いつもは軽口ばかりのキッカが、まったくそうした様子を見せない。

 ひどく、緊迫した空気が漂っていた。

「お前、あいつに言ったのか? 自分が獣人として、魔王として不完全だってこと」

「それが?」

「だから人間なんか信用しなきゃよかったんだ! 余計なこと言ったせいで、お前の秘密が漏れちまったんだろ!」

「わからない」

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